本尊延命地蔵菩薩
龍神信仰の厚い善寳寺の末寺である当院は、延命地蔵菩薩さまがご本尊さまである。
龍の脳から取り出した智慧の玉・如意宝珠を携えている。
いかなる願望も成就し、病気や苦悩を癒してくれる宝珠であり、また悪を除去し濁った水を清らかにし、災禍を防ぐ功徳があると云われている。
当院の檀信徒のご先祖さまの御霊を御守し、さらに心の安寧と健康無事を日々祈ってくださっている。
当院鎮守 十一面観音菩薩
天正15 年（1587 年）大山尾浦城主武藤義興自刃滅亡後、道地村肝煎・菅原喜右衛門が地高七十五石を持って浜中に移住してくる。道地村葛岡山にある十一面観音守 萬福寺が荒廃し放置されていることを伝え、浜中の鎮守として十一面観音を勧請して観音堂を建立（現石船神社）した。以来、檀信徒の観音信仰も厚く、年に2 度観音講の祈願法要が執り行われている。
子宝安産地蔵菩薩
大正時代、飢饉や天災で浜中村の幼い子供が多数犠牲になった。子孫繁栄、子宝の祈願と子供の健康無事を祈った村の人々が金銭を出し合い昭和4 年（1929 年）に建立されたのが「子宝安産地蔵菩薩」である。庄内一ともいわれる大きさの大地蔵菩薩には、古くは藤島等の遠方から成就のために歩いてお参りに来られた。
現在でも安産地蔵講で子宝・安産祈願や子供たちの健康無事のご祈祷を行っている。
十二支守り本尊
大正～昭和初期、善寳寺に常住していた仏師の作と言われているが詳細は不明。守り本尊とは、生まれてから死ぬまでその人の一生を守り続けてくれる仏様のこと。昭和時代に全国的に流行し厄除けや開運の守護仏として信仰されてきた。「一代守り本尊」ともいわれ、生まれ年によって守り本尊が定められている。お参りの度に自身の守り本尊に熱心に手を合わせる老若男女姿が屡々みられる。
不動明王像
当院建立時より三度の大火を逃れ、今なお鎮座する唯一の仏像・不動明王。作者は不明。観る者の煩悩の焔を焼きつくすような眼力と力強さに洗心される。
八臂辯才天
芸能・学業の神。江戸時代、京で求めたとされる。辯才天信仰は古くから全国に広まったが、武運長久・勝運の神である一面を色濃く残した八臂の辯才天は庄内では珍しい。
地獄極楽絵図
江戸時代の絵、作者不明。
地獄と極楽の絵が対になっている。地獄を抜けると極楽に進む道が指し示されている珍しい絵。賽の河原の地蔵菩薩絵と三枚同作者とみられる。
宝篋印塔
天保12 年（1841 年）当院10 世石雲仙英大和尚代に建立された。宝篋印陀羅尼を納めた経塔。古来よりこれを礼拝することで罪障が消滅し，苦を免れ，長寿を得ると信仰された。浜中は漁師町であったこともあり、当時の漁業関係者が漁業で奪った魚の命の供養と大漁を祈願して建立した。下部に「當村大漁満足」の文字が彫られている。当院よりまっすぐ海に向いており、お盆期間中にこの塔より海に向かって灯りをともす風習がある。
恵比寿・大黒 鬼瓦
平成28 年（2016 年）当院本堂改修時に14 世應傳紘悠大和尚より寄進された。当院から海（西側）に向いて恵比寿さま、田んぼ（東側）に向いて大黒さまが当院檀信徒の大漁満足・五穀豊穣をそれぞれ祈念しておられる。
亡霊（モリ）の山
モリ供養は庄内地方独特の風習で、西暦800 年頃慈覚大師が清水地区にある三森山で亡き母の供養を行ったことがはじまりと云われている。お盆（送り火）を過ぎると、期間中世俗にまみれたご先祖さまはすぐに極楽には戻れず、小高い（霊）山にて身心浄めの修行を行う。御仏のもとへ帰るご先祖さまに後ろ髪を引かれる思いでもう一度手を合わそう（お別れを伝えよう）という情愛深い供養がモリ供養である。以前は新盆から三年は三森山の観音堂に登山し供養する風習だったが、近年は高齢化によりすべて当院裏の亡霊の山にて供養を行うようになった。明治時代初期に当院でこの供養が始まったころからモリの山を「亡霊の山」と記している。